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同じ戦略でも「どこで回すか」で3倍変わる|8社のルールを機械戦略に通して比較【考察】

公開日: 2026/9/4更新日: 2026/9/27

※ 本記事は考察(オピニオン)です。投資助言ではありません。バックテストは過去データに対する検証であり、将来の成績を保証しません。ファーム固有のルールは頻繁に更新されるため、必ず各社公式サイトでご確認ください。取扱銘柄は特に変動が大きいため、口座を買う前に実機で確認してください。(最終更新: 2026年9月27日)

問い:ルールが似ていれば、どこで回しても同じなのか

2ステップのチャレンジを並べると、数字はよく似ています。

利益目標8%→5%、最大DD10%、日次DD5%、最低取引日数3日。この組み合わせを採用している会社は多く、一見すると「どこでも同じ」に見えます。実際、比較記事の多くは価格と利益配分率で優劣をつけます。

しかし同じ戦略を8社のルールに通してみると、1本あたりの所要日数が17.2日から59.6日まで3.5倍ひらきました。通過率はほぼ横並びなのに、です。

差がどこから来るのかを分解します。

前提:何を通したのか

方向を当てないタイプの機械的な戦略を使います。SL幅とTP幅を同値にして、1トレードの損益をリスク%ちょうどに揃えるものです。こうするとチャレンジが「整数格子のランダムウォーク」になり、通過率が破産問題の式で厳密に計算できます。

目標8% = 8勝ぶん先の壁 / 最大DD10% = 10敗ぶん手前の壁

勝率はスプレッドだけで決まります。SL幅とスプレッドの比を M とすると、

Code
勝率 = (M - 1) / 2M

この式は8手法・のべ13,684取引のバックテストで実測と一致することを確認しています(詳細はこちらの検証)。

今回は銘柄をUS30に固定しました。スプレッド13ptに対しSL幅3,090ptで M=238、理論勝率49.79%。実測の取引頻度は1.80回/日です。戦略側の条件を完全に揃えて、ファームのルールだけを差し替えます。

結論:通過率は横並び、割れるのはサイクル

ファーム使えるリスクPhase1Phase2合計通過必要手数所要日数
The5ers2.0%54.6%70.8%38.7%26手17.3日
FundedNext2.0%54.6%70.8%38.7%26手17.3日
SuperFunded2.0%54.6%70.8%38.7%26手17.3日
Hantec Enhanced2.0%48.9%70.8%34.7%30手20.3日
FTMO2.0%48.9%70.8%34.7%30手20.3日
Fintokei2.0%54.6%61.7%33.7%28手19.1日
Fundora1.0%53.7%65.3%35.0%107手59.6日
Funding Pips2.0%54.6%70.8%38.7%26手17.2日

この表はチャレンジの通過までを計算したもので、Funded後のルール(Hantec Enhanced の「初回出金で最大損失のラインが初期残高に固定される」規定など)はモデルに入れていません。

通過率は 33.7%〜38.7% に収まり、最大でも5ポイントしか違いません。ところが所要日数は 17.2日から59.6日 まで3.5倍ひらきます。

1%ルールがあるのはFundoraだけで、そこだけが突出して遅くなっています。

差の正体は「1トレード1%ルール」

Fundoraには、1回のトレードで有効証拠金の1%を超えるリスクを取ってはいけないという規定があります。今回の8社ではFundoraだけです。

(当初この記事ではFunding Pipsも同じ扱いとしていましたが誤りでした。同社のRisk Per Trade Ideaは2 Step FlexとZeroのMaster口座のみに適用され、上限も$50K未満3%・$50K以上2%です。2 Step Standardには適用されません。2026年9月4日修正)

このルールがあると、リスク2%が使えず1%に固定されます。すると壁までの距離が倍になります。

Code
リスク2%: 目標8% = 4勝ぶん 最大DD10% = 5敗ぶん → 必要手数 26手
リスク1%: 目標8% = 8勝ぶん 最大DD10% = 10敗ぶん → 必要手数 107手

歩幅を半分にすると、同じ距離を歩くのに4倍の歩数が要ります。壁の距離が縦横それぞれ倍になるためです。手数が4倍になれば、1日に打てる回数が同じなら日数も4倍かかります。

実際には日次DDの制約でリスク2%の側も回転が鈍るので、実測ベースだと3.4倍に落ち着きます。それでも59.6日と17.3日は、年間の挑戦回数が4回と14回の差です。

通過率はなぜ変わらないのか

歩幅を半分にしても、壁の距離も半分の単位で数え直されるので、到達確率はほとんど変わりません。スプレッドを払う回数が増えるぶんだけわずかに不利になりますが、M=238のUS30ではその損失が小さく、ほぼ相殺されています。

つまり1%ルールは「安全になる代わりに通過率が上がる」のではなく、通過率はそのままで時間だけ4倍かかるという性質のものです。安全性はDDの壁が決めるので、1%にしても失格しにくくなるわけではありません。

Phase1が10%の会社は1段目で不利

FTMOとHantec Enhancedは、Phase1の目標が10%です(他社は8%)。

これがPhase1通過率を 54.6% → 48.9% と5.7ポイント下げます。壁が1つ遠いぶん、素直に届きにくくなるためです。

ただしPhase2は5%で他社と同じなので、合計では34.7%と2ポイント差に縮まります。1段目で落ちる確率が上がるぶん、受験料を回収できない試行が増えるという形で効きます。

Fintokeiは2段目が重い

Fintokeiは Phase1が8%と標準的ですが、**Phase2が6%**です(他社は5%)。

Phase2の通過率が 70.8% → 61.7% と9ポイント落ちます。Phase1を抜けた後に落ちるのは、時間を使ったぶん損失感が大きい構造です。合計通過率33.7%は今回の8社で最も低くなりました。

一方でFintokeiは日本語サポートと国内送金が使えるため、この差をどう評価するかは運用の都合次第です。

分配率は「Funded後」にだけ効く

Funding Pipsは利益配分が60〜100%と幅があり、初期は60%です。

Funded口座に到達した後の期待取り分を計算すると、分配80%の会社が9.71%なのに対し 5.73% と4割落ちます。チャレンジを通す部分には影響しませんが、通った後の実入りが4割減るので、総合では大きな差になります。

つまりFunding Pipsは、チャレンジ部分では他社と同等(通過率38.7%・17.2日)ですが、Funded到達後の取り分だけが4割少ないという構造です。分配率は最大100%まで上がるので、長く使うほど差は縮まります。

最低保持時間ルールと実測

短時間の決済を禁止する会社があります。実測3,826取引の保有時間分布と突き合わせます。

ルール該当抵触する取引
20秒以内の決済禁止Fundora0.03%(3,826本中1本)
3分未満の決済の純利益が全体の30%以上で該当Hantec Trader1.05%(40本、3分未満で決済した取引)

保有時間の中央値は銘柄によって 4.5〜14.6時間 でした。SL幅を日中レンジの0.64倍という広さに取っているため、決着まで数時間かかるのが普通です。

したがってこのタイプの戦略では最低保持時間ルールはほぼ問題になりません。スキャルピング系のEAだと話が変わりますが、壁との距離で設計する戦略は自然と長期保有になります。

Hantecの3分ルールは「利益の比率」で判定される

「3分未満はNG」と一言でまとめられがちですが、公式ヘルプの定義は「3分未満で決済した取引の純利益が、期間の純利益全体の30%以上」になると該当する、という比率の条件です。3分未満の決済が1回でもあれば違反、という規定ではありません。

実測しました。2,845取引で検証した結果です。

項目実測上限
3分未満の取引の比率(参考)1.23%規定なし
3分未満の取引の利益占有率1.31%30%

利益占有率は上限30%に対して1.31%で、20倍以上の余裕があります。銘柄別に見ても最大はXAGUSDの2.80%でした。このルールの意図はティックスキャルピングの排除なので、保有時間の中央値が数時間の戦略はそもそも想定対象外です。

即失格になるルールと裁量で扱われるルール

ここは誤解しやすいところです。3分ルールに該当した場合の扱いは会社の裁量で、利益の調整・削除、取引の制限、口座停止のいずれもあり得ます。また3分未満のスキャルを続けると、ファンド口座のレバレッジが下がる「Risk Management Group」(裁量の降格枠)に入れられることがあります。「1回でも3分未満で決済したら終わり」ではありませんが、比率が上限に近づくなら決済側にガードを入れるのが確実です。

一方、ファンド口座では含み損の合計が初期残高の3%に達した時点で即失格(複数ポジションは合算)になります。評価段階にはこのルールがないので、チャレンジで通用したロットのままファンド口座で回すと抵触しやすい点に注意してください。

別物の「3分ルール」に注意

同じ3分でも重要指標(Forex Factory の赤)の前後3分は取引禁止という別のルールがあります。新規だけでなく決済も対象です。

これは自動売買では気づきにくい落とし穴です。SL/TPをブローカー側に置いていると、指標発表の前後3分に約定して意図せず抵触します。自分でタイミングを選べないためです。

適用されるのはファンド口座だけで、Enhanced を含むチャレンジ(評価段階)には制限がありません。

最低取引日数はサイクルに効く

FundedNextは最低5日、FTMOは4日、他社は3日です。Hantec Enhanced は各ステージで「0.5%以上の利益を出した日」が3日必要で、ただ取引した日数では数えません。

今回の計算では所要日数が17〜20日なので最低日数が制約になる場面はありません。ただしリスクを上げてサイクルを詰めると、目標に先に届いてしまい「日数待ち」が発生します。

たとえばリスク2%で運が良ければ5〜6日で目標に届きますが、FundedNextでは5日以上取引しないと合格になりません。日数を満たすまで打ち続ける間に、せっかくの利益を失うリスクがあります。目標到達後は最小ロットで日数を消化するなど、運用側の工夫が要ります。

用途別の選び方

サイクル重視なら The5ers / FundedNext / SuperFunded。 通過率38.7%・17.3日で今回の最良でした。1%ルールがなく、目標も8%→5%と標準的です。ただしFundedNextは最低5日という注意に加え、2026年9月9日の改定で$50,000以上の口座はEA・自動売買が全面禁止になりました(EAは$25K以下のMT4/MT5口座のみ)。システム売買で$50K以上を回すなら、FundedNextは候補から外れます(2026年9月9日追記)。

通過率だけ見るなら差は小さい。 33.7%〜38.7%なので、ここを基準に選ぶ意味は薄いです。それより価格・出金実績・サポートで選ぶほうが合理的です。

Fundora は1%ルールを許容できるかで決まる。 サイクルが3.4倍遅くなるので、回転を重視する運用には向きません。1%ルールが張れる大きさに天井をつけるので、同じ戦略ならほかの会社より不利です。それでも選ぶ理由になるのは、日本語対応と円建て口座が使えるといった実務上の利点です。

Funding Pips は分配率をどう見るか。 チャレンジ部分は通過率38.7%・17.2日と最良グループです。初期分配60%がネックですが、出金実績は第三者検証で累計$167M・127,000件と今回調べた中でも上位で、Trustpilotも4.5(52,000件超)。「通しやすさ」と「出金の確実さ」を取り、初期の取り分の薄さを許容できるかが判断軸になります。

FTMO / Hantec はPhase1の10%をどう見るか。 1段目で落ちる確率が5.7ポイント高いぶん、受験料の回収効率が落ちます。両社とも運営歴と出金実績では上位なので、そこを重視するなら妥当な対価とも言えます。

この比較の限界

取扱銘柄を織り込んでいません。 今回はUS30で統一しましたが、そもそも各社が何を扱っているかは別問題です。日経225やビットコインのCFDは会社によって有無が分かれます。**口座を買う前に、使いたい銘柄が実際にあるか確認してください。**これは公式サイトでも記載が古いことがあるため、デモ口座で実機確認するのが確実です。

受験料を計算に入れていません。 価格体系が各社で異なり、割引クーポンの有無でも変わるため、通過率とサイクルだけで比較しました。実際の期待値は「受験料 ÷ 口座サイズ」の比率で大きく動きます。同じ通過率でも受験料が倍なら期待値は別物です。

Funded後のルールは別途確認が必要です。 一貫性ルール、出金頻度、建玉リスクの上限など、チャレンジ中には現れない規定があります。Hantec EnhancedXの一貫性35%ルールのように、Funded後の出金にも適用されるものもあります。Hantec Enhanced は初回出金で最大損失のラインが初期残高に固定されるため、出金額によっては余裕が大きく減ります(出金しても動かないのは EnhancedX と Endurance)。

「禁止」と書かれていても重さが違います。 本文で見たとおり、同じ禁止事項でもハードブリーチ(即失格)とソフトブリーチ(該当取引のクローズのみ)では意味がまったく違います。禁止事項の一覧だけを見て候補から外すと、実際には問題にならない会社を落とすことになります。逆に Hantec のファンド口座の「含み損3%で即失格」のように、評価中には現れない項目がハードブリーチだったりします。

通過率30%台は「7割落ちる」という意味です。 期待値がプラスでも、1本ごとの結果は大きくばらつきます。数本で判断できる性質のものではありません。

まとめ

同じ戦略を8社に通した結果、通過率はほぼ横並び(33.7〜38.7%)で、割れたのはサイクル速度(17.3日〜59.6日)でした。

最大の要因は「1トレード1%ルール」で、これがあるとリスクを半分に抑えられ、必要手数が4倍になります。通過率は変わらないので、安全になるのではなく時間だけかかるという性質です。

次に効くのがPhase1の目標です。10%の会社は1段目の通過率が5.7ポイント低く、受験料の回収効率が落ちます。

利益配分率はチャレンジ部分には影響せず、Funded到達後の実入りだけを左右します。60%と80%では4割の差になります。

**比較記事でよく見る「価格」と「利益配分率」は、実は選定の主要因ではありません。**リスク上限とPhase1目標のほうが、同じ戦略を回したときの結果を大きく動かします。

この記事を書いた人

ホソノP |プロップファーム攻略の人

自分のお金でチャレンジを買い、出金まで記録して検証しています。記録した出金は Fintokei・Fundora・Funded7 で合計 610万円、The5ers で $4,776(2026年9月時点)。半裁量EA「ELDRA」の作者。

プロフィールと出金実績X @hosono_p

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